Magreb マグレブ残照

水野秀彦 写真展

Hidehiko Mizuno Photo Exhibition


 「マグレブ」 日の沈む国を表すこの言葉は、アラビア語でモロッコ、あるいは北アフリカの三国、モロッコ・アルジェリア・チュニジアを指す。北アフリカの西端に隣接する三つの国、大西洋にいどむ地の果ての国々はまさしく西の彼方、日の沈む処の国なのである。

 かつて、3年間のモロッコ生活を通し、多くの風景や人に接しながら写真を撮ってきた。その中で今回はモノクロの作品のみを何点か展示させていただく。

 1990年からの3年間はあっという間だった。日の出る国から来た東洋人にとって毎日が驚きと発見で満ちていた。
日本に帰るという知人から、安く買い受けたモノクロ写真の現像道具と引伸ばし機。初めてのモノクロ写真は、教えてもらう人もいないモロッコの田舎の小さな街で、夜遅くまで私を熱中させてくれた。
 何気なく撮った日常の風景や人も、モノクロ写真となって現像液の中から浮かび上がる映像は、おそろしく新鮮で、色がない故にかえって鮮烈な感動があった。

 今回の展示作品は、1点を除いて当時モロッコで自分でプリントしていた時の作品である。たくさんの作品をプリントして帰国と同時に日本に送ったが、いくつかの荷物といっしょにどこか途中で紛失されて手元に届くことはなかった。数少ない自作のモノクロ写真である。10年以上の時間とともに少し黄ばんできたようだが、なおさら当時を懐かしく思いおこさせてくれる。

2004.12.1


子供の情景

チュニジア  トズール

日乾しレンガで作られてたトズールのメディナ。
中世から変わることのない細い路地とレンガの家々の中で、世代だけが代わっていく。
子どもたちに神の御加護あれ。

オリーブ工場の男たち  

モロッコ  アジラル  

物 貰 い    

モロッコ  アジラル

アジラルの中心には食堂や喫茶店があり、そこの客に小銭をめぐんでもらおうといつも物貰いがやってくる。イスラムの国では富めるものが貧しきものに与えることは当然の道徳と考えられている。そんな土地であるから視力も失ってしまったであろうこの老婆も、この厳しい土地に生きていくことができるのだろう。

ファンタジア

モロッコ  アジラル

街の祭りの日にははずれの広場でファンタジアが開かれる。男達が馬に乗り、いっせいに駆け出して空砲を撃つ。小さな街中に銃声が響きわたる。

スークの風景 

モロッコ アジラル