アンナプルナの懐の街道沿い、道ばたで遊んでいた子どもたち。無邪気に近寄ってくる子どもたちの瞳は、我々が失ってしまったたいせつなものを訴えかけているような気がしてならない。カーレからチャンドラコットへむかう街道にて。
かつてよりあこがれの国であったネパールに、初めて降り立ったのは1997年7月。
念願のヒマラヤの山々に出会えることが今回の旅で一番期待していたことだった。 だが、残念ながらネパールは雨季。 連日曇り空の下、アンナプルナ山群の玄関口ポカラに着いても、山はいったいどこにあるのか、遠くの景色はすべて雲に塗りつぶされていた。
ポカラを発つ日の朝、幸運にもやっと晴れ渡った。厚い雲の中から姿を現したヒマラヤの峰々は、あまりに近く、あまりに高かった。
今回の旅の目的は観光でも撮影でもなく、ボランティア協力活動の一環に同行したものであった。しかしそのおかげでずいぶんとたくさんの人と普段の旅では味わえないようなふれあいを持つことができた。約1週間足らずの時間の中で、ヒマラヤの懐ポカラから南部タライ平野の村や町まで、駆け足でまわった。その間その土地土地の独特の生活や、人々、そしてその様子と出逢い、何枚かの写真が今残っている。行く先々で出会う人たち、言葉も通じないながら、彼等の私に注いでくれる眼差しは少しもいやがる様子がなくむしろ暖かいものであった。そして彼等とのそんな無言のコミュニケーションこそが、このネパールの旅で一番心を打たれたことであったと、今あらためて想う。
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「荷物をおろして」 ナヤプル/ネパール |
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