夏山合宿参考記録(K玉OB編)

母校の裏銀座合宿山行参加に名乗りを上げたのは、6月中旬でした。ホームページを見ていたら、ついつい書き込みしてしまったのです。小生、52歳、昭和50年卒OBの児玉です。

実際、過去、OBとして、夏山合宿に参加したのは2回ありました。1回目は1975年の夏、私が大学1年生時に高校1年生を伴っての槍ヶ岳への非公式山行。(その年は、リーダーが6月負荷山行で右腕骨折のため公式山行中止)そして、2回目は1987年、社会人になってからで、10年年上の猪飼OBと二人して、別動隊(食料、テントすべて自前)を組み、表銀座を燕岳から槍ヶ岳までつかず離れず、支援した次第です。

で、今回、はじめて、公式山行メンバーとして、現役生と行動を共にするという光栄に浴することになりました。過去において、同部では卒部してから2,3年の現役大学生が随行して、現役をサポートするのがならわしであったと思います。今回は、澤OBがサポートを引き受けてくれたのでした。翻って、小生、サポートどころか、足をひっぱりまくりになるのではないか?そんな危惧はあったものの、とにかく、ホームページにエントリー表明して、準備を進めていきました。まあ、賽は投げられた訳です。

合宿参加にあたって、小生にとっての課題は3つ。体力、装備、気力。

その内、体力が一番の問題だ!!年齢は50歳を越えている訳で、ほとんど中高年登山者の片足を突っ込んでいるのに加え、3年半前には切腹(胃癌で2/3の胃切除術を受けていた)して、体力、大幅ダウンの状態です。手術後に、山行らしい山行は一度も無く、1昨年前に、黒部源流へ23日でイワナ釣りした程度でした。しからば、鍛えねば!そう考えて、体力増強をはかりました。短期決戦で。6月、7月の2か月の間、ほぼ毎日、近所にある 名古屋市 の温水プールで1時間の水中歩行トレーニングを敢行しました。脚力をつけるのが目的でした。それに、心肺機能を高めることもできたと思います。体重は1kgの減量に成功。引き締まった筋力がついたはずだったのですが…

その効果はぶっつけ本番の夏山合宿で試すことになった訳です。水中ウォーキングのその効果はイカほどか?=やっといて、良かった!なんとか、現役についてけたもんネ

 次に装備です。まずは足まわりから、です。エントリー表明から1か月チョットで山行に突入なので、登山靴を新調することは大きな賭けになります。(履きなれない山靴で痛い目にあったことが過去に何度もありました。)で、履きはじめて7年も経過している軽登山靴(ガルモント)で参加することにしました。この山靴は富士山登山を2回も経験したツワモノです。年数が経過している上に、下界でも闊歩していたので、老朽化が激しいんだけど、許してたもれ!と覚悟を決めました。山行1週間前に防水クリームを愛情たっぷりと注入し、2日前に防水スプレーで化粧して、山へ送り出すとにしました。その結果は?=4日目の土砂降りには無抵抗状態となり、5日目の下山時には足はふやけっぱなしでした。でも、なんとかこのガルモントは壊れずにマイホームに戻ってきました。健気な奴よ!

ザックは新規に購入しました。ミレーの型落ち45〜55Lのザックです。着用の仕方はバックルがたくさんついてて、よくわからへんけど、まあ、ぶっつけ本番でいいでしょう。山行中に現役に教えてもらいました。担ぎながら調節していくもんらしいです。胸のバンドも随意にとの事。その昔、ザックにはリットル表示なんぞ無かったんですが。変わっちゃいましたネ。大、とか特大とかの重い綿布製だったよね!先輩。ザックカバーも購入しました。はじめてです。20年前にザックカバーをつけてる人ってほとんどいなかったですが、もう、これは完全に必需品になってるようです。結果として、4日目の大雨にも負けないスグレモノであることが判明いたしました。皆さん着けたがるわけだ、天気が良くても。

シュラフも新品を買いました。3シーズン用で結構かさ張るものにしました。大枚はたいて、ダウンのコンパクトになるタイプにすればよかったと反省しております。安物買いの銭失い状態ですわ。シュラフカバーは無しで堪忍してもらいました。これも、必需品ですね、今時。次回は購入しようとっサ。

 服装。これはもうオールドファッションで行きました。さすがに、下着はブレスサーモの濡れてもあったかい長袖とスパッツにしときましたが、上着は長袖の化繊のタウン着、ズボンはジャージ(ナイキ)で決めました。このスタイル、ほとんどはやりませんナ〜30年前ならフツウだったのに。ついでにロングスパッツも揃えておきました。富士山登山には必需品と山道具店で宣伝しとったもんで。靴下は絶対にウールのロングソックスですわ。なんとか、昔のが家に残とったもんネ。メンバーの中では一人異彩を放ってまって、空気読めないオッサンって感じだったな。帽子、これは絶対、要るもんです。ゴルフ用の帽子にしてみました。防水スプレーを入念にかけときました。カンカン照りになるかもと思ってたんですが、これが意外と予想ハズレ…雨天時にも帽子は効果的なんだな、これが。雨(カッパ)はホームセンターで数年前に購入したものを使用。ちなみに、カッパのことを明和高トレックではレインと言ってます。防水スプレーはたっぷりとかけたんだけど…4日目の大量の雨降りには耐えませんでした。蒸れがひどくって(やっぱ、ゴアテックスのレインコートがええな〜)次回にはなんとかせなかん!膝当て(サポーター)を必要とするジジイになってまった。ここんとこ、御在所岳のふもとの藤内小屋へ出かけるだけでも、下山時には膝が痛くなるぐらい弱ってましたので、念のため、用意しました。

 ストック。これまた、膝が痛くなった時の補助具として必要なので、5年前に富士山登山でお世話になったストックに頼ることにしました。下山時には、必要なアイテムです。

 マット。お風呂の湯冷め防止マットをホームセンターにて、購入。半分に切断しました。意外とかさばるんだよネ。これが。何故だか、最終日が一番ザックがプンプクプンになってしもうた。不思議な話ですが、しょうがない。結局、最後に、烏帽子小屋にプレゼントしてきました。小屋のネエさん喜んでました。ちなみに、現役諸君は個人装備にしてないとの事。懸命ですね。事前に聞いときゃよかった。

 食器。これは新規に揃えました。ホームセンターで。アルミのコップもついてたので、即断です。あと、百均で電子レンジ対応OKの漆器風のお椀大小も。抹茶サービスの必需品です。本当は、本物がいいんだけど、重いから勘弁してもらいました。水晶小屋での抹茶タイムは最高だったダヨ。

 非常食。 計画書の指定品は米1合、カロリーメイト1P。他に、差し入れ用も兼ねて、カステラ1本、一口羊羹を用意しました。抹茶のお茶菓子としては絶品だったよね(自画自賛)!

 ヘッドランプ。 通称ラテって、昔、言ってました。ホームセンターにて、労働者用のLED単四3本仕様を新規購入。LEDってほんとに明るいでっせぇ〜時代は変わった。

 軍手。 今時、指ぬきのサイクリング用の手袋が明和高トレックのトレンドの様ですが、小生、イボがついたクラシカルな軍手とビニ手を用意しました。雨の日に軍手は冷たく感じたダヨ。気温が12℃ぐらいだったんで、まだ、いいんだけど。つけとると、だんだん快感になってくるんだわ。これが。

 携帯電話。 そう言えば、これも個人装備ですネ。auGショック仕様)とドコモ各1台を持参しました。どちらも、GPS機能付です。実際、山で使用したのは烏帽子小屋のヘリポートから猪飼OB・水野OBへのドコモでの通信1回で済みました。残念ながら服部OBには通じず。非常時には、ホントに必要です。バッテリー切れにならないように、山行中は電源オフが原則。それとも、予備パックの持参かな?

 デジタル カメラ。 キャノン プロショットS60390g=旧型なので重いです)を携行したのですが、なにせ、チームの行動について行くのが精一杯。高山植物なんぞをビシバシ撮ろうと思ってたんのですが…持ち運ぶのが苦痛になってしまいました。それに、一般的に、バカチョンカメラの域を脱しないので、よほど腕が良くないと、いい写真にならないんだよネ。これが。スナップ写真でいいのがあれば、各メンバー宛、極秘に送付いたします。昔、カメラ小僧は、今は、単なる機会オンチのオッサンですわ。

 か弱い体力を補完するのが、軽量化、効率化された装備・服装です。昔を想い出しながら揃えて往った訳ですが、どうも、オールドファッションにこだわりがあったようです。痛い目に遭わないと、変更できそうにありません。今回の山行では何とかなりました。

 さて、ここからは団体装備について総括しておきます。装備の変貌には眼を見張るばかりです。テント。その昔は、屋根型の綿布のテントだったものが、いまや、ドームテントでなおかつフライシート付。「雨なんか怖くない」状態ですネ。が、しかし、ここに想わぬ落とし穴がありました。顧問テントに縦走中雨漏り発生。これには往生こきました。老朽化すれば、どんなに防水しようとも、アウトなんですネ。これが。顧問の先生方のお怒りはいかばかりか?次回からは、よう点検してかなアカンよ〜。火気については、高性能なバーナー(液化ガス)が常識の世界になりました。30年前はガソリンをポリタンクで運ぶという暴挙が平然と行われていたのですから、本当に安全になりました。食器もスマートになってます。実際、なべ・釜に近い物=その物を使っていた記憶があります。また、食事の際、各自が自分の食器を提出するっというのも、昔の私には大変新鮮に映りました。このスタイルの方が自然なんですよネ

 元に戻ります。体力、装備、その次にくるのが気力=モチベーションです。テンションを維持することは大変重要です。山行前は特に。今回、検討会(7/18)に1回出席。さらに、山行3日前(8/1)の追いコンでも、現役との情報交換ができ、入山前々日(8/2)には買出しも一緒にやれました。いい感じで、夏山合宿山行に突入できたと思います。小生にとって、槍から烏帽子までが、初めての縦走であったことも幸いしていました。このワクワク感がたまりませんでした。そして、山行中も終始ハイテンションを維持できたのでした。皆さんに迷惑かけたカモ?

行動記録(非公式)

基本的には、本隊に同行しましたので、別記する必要もありませんが、正直なところ、ついて行くのがヤットでした。

まず、1日目、3ピッチしかないのですが、徳沢への2ピッチ目から5分遅延が始まり、最終ピッチの横尾には10分程度の遅れで到着。情けな〜!先が思い遣られます。実際、高山植物を写真撮影してた事もありますが、実は、2ピッチ目の途中、アップダウンも無い林道で、右膝の裏スジに若干の痛みが走ったのでした。この痛み、3日目までは続いたのですが、何故か、4日目、三俣蓮華から烏帽子小屋の長時間縦走中に消失し、5日目のブナ立尾根の下山時には支障がなくなっていました。

 本山行中、最も遅れをとったのは、2日目の殺生ヒュッテ〜槍ヶ岳肩です。天候も抜群だったので、B顧問からマイペース歩行の許可が出たのでした。その結果。小生が晴れて、ドベの栄冠を勝ち取りました。現役組に遅れる事10分でした。もちろん、先頭集団はBM両顧問、S 0Bで、スプリットタイム30分という大記録です。槍の肩の最後の登りはホントにきつかった。私にとっては。

が、しかし、槍ヶ岳頂上アタックはスイスイで、問題ありませんでした。空身ですし、岩登りの世界は大丈夫。昔とった杵柄。一歩一歩3点支持を守りながらの移動はお手の物。頂上からの視界が広がらなかったのが残念!

3日目。西鎌尾根から見る飛騨側の笠ヶ岳は勇壮でした。天候、午前中、視界良好にもかかわらず、小生の脚力は一向に回復する気配がありません。一番ひどかったのは双六小屋への下りです。下りになると歴然と脚力の差を感じます。膝が悲鳴を上げだします。これまた、本隊に遅れること10分で到着です。「戦線離脱!後方待機!」と発声して、お許しをいただきました。が、しかし、何故かしら、双六岳の登りになって、それ以後は、何とか、本隊について行くことができたのです。奇跡的に。

悪天候の4日目と急坂下山路の最終日は有終の美を飾ることができました。下りで、現役の行動の足をひっぱらなかったのは、次年度への助走になるのではと、密かに思ってますが、いかがなものか?まあ、結局、パーティ全体がある程度、疲労してて、そこそこのペースで、安全に歩行できたってことですよネ?加藤リーダーに感謝いたします。以下に、ざっくばらんに別の視点からみた参考記録を紹介いたします。

番外編1 高山植物を愛でる旅はどうなった?

1日目。季節は絶好です。上高地の喧騒も無くなり、カッパ橋を過ぎるころの林道あたりから植物が百花繚乱状態。最初に目についたのは紫色の猛毒でおなじみのトリカブトでした。鈴鹿の山々でもよくみかけるけどネ。色違いで、淡黄色のオオレイジンソウもたまに見かけました。オタカラコウ、ミヤマアキノキリンソウ、アザミ、ウスユキソウの仲間、センジュガンピ(ナデシコ科)、キキョウの仲間のソバナ、ホタルブクロ…

2日目。横尾から槍ヶ岳。雪渓の上部に群生するニッコウキスゲは圧巻であるが、写真に撮るとショボクなるものよ。頂上付近にはイワベンケイ、シャクナゲがけなげに咲いてました。

 3日目。槍から西鎌尾根、双六。ミヤマキンバイ、タカネナデシコ、コバイケソウ、ハクサンフウロが咲いていたよ。クロユリ、オニユリも。チングルマはもうすぐ穂になっちゃいそうでした。

 4日目。三俣蓮華から烏帽子小屋。コマクサが群を抜いて目を引きます。雨中行軍ゆえに、植物どころではないが、コマクサは忘れられませんネ。砂礫に咲くが故にいとおしい。

 5日目。最終日。ブナ立尾根。もう、体力の限界。カメラのカの字もザックから出ません。烏帽子小屋の入り口付近に咲いていた紫色の花は何だったけ?えーい、体力をつけて、出直しておいで!すべては、体力がないと、全部が中途半端になっちゃうんだよね〜

 そう言えば、4日目に、雷鳥にも遭遇したんだよネ。親子6羽の群れに。縄張りをもっている彼らですが、人を警戒するから、滅多に観察できない筈なのに。B顧問はカメラに収めたかしら?小生、もう、それどころじゃなかったもんネ!バテてましたよ、ホント!

                                       

                                    


注:3日目双六小屋への下り、右下のパーティが明和高トレック。

番外編2 B顧問ワンポイントアドバイス集(未完成)

 行動中のB顧問の助言は目からウロコってのが数多くありました。とても、わかりやすく、説得力があるのです。薀蓄のある珠玉の数々、紹介させていただきます。特とご覧あれ!現役諸君

♯1 消費税分だけ、ピッチを上げろ!

♯2 メリハリのある歩き方をしろ。ダラダラ歩いとると、よけいに疲れるぞ!

♯3 オレは誉めるときは誉めるし、叱るときは叱る。もっと、誉めさせてくれ!

   例えば、「このミソ煮込みうどんはうまいぞ!」

♯4 その前向きの積極的な歩行はいいぞ!

♯5 迷ったら、ヤル!

   解説:止めるか、やるか?二者択一の場合、行動する方を選択したほうが、経験上、結果オーライのケースが多い。例えば、雨具の着用。雨に降られた時に、乾いたセーターを保温用に下着がわりに直接着用。決断は早い方がいい!

♯6 体が不調のとき、暖かいお茶で体を暖めて、アイドリングしてから行動を開始する。例えば、3日目槍から西鎌尾根の下る際、デップ時間が多少遅れても最初に休息をとりました。

♯7 荒天時には休息を積極的にとる。例えば、4日目の雨中縦走時に、水晶小屋および野口五郎小屋での休息は40分以上とりました。天候、メンバーの体調を考慮に入れて、臨機応変で、機敏な対応がとられます。

♯8 出発時のチョット待った(トイレ行き)は止めてくれ!出鼻をくじかれる。もっと、余裕をもって行動しろ。

♯9 単独行の勧め=一度、単独行するといいよ。そうすると、行動の段取りがよくなるはずだ。さきさきを読んで、行動するようになる。(縦走時休息時間に加藤君への助言)

10 早出、早着き、早寝

11 二足歩行の勧め=しっかりとバランスを保って、歩行すること。不用意に手をつくと転倒して骨折するぞ。

12 これが最後の登りだゾ!=現役がバテた時の檄

13 行動中の水分補給は早めに、多めに!飲水は計画的に=脱水症状に陥らせないコツ

14 分岐点(道標があるにもかかわらず)で逆方向へ行っちゃダメ=致命的ミスにつながる→♯9と相通ずる心得

15 メンバーの体調管理には細心の注意を払え!=雨天時の行動中、悪寒を感じたら、乾いた服を着用させる。

16 自分の健康状況は我慢せずに自己申告を!

17 着衣着脱判断の妙=着衣着脱で体力消耗を未然に防ぐ、防寒防暑はとても肝要

   ザックを背負ったまま、カッパの上着を脱ぐ技あり→澤OB,B顧問やったもんネ

18 テントのペグの打ち込み角度は?

19 真水は残しとけ!

20 鎖場等の悪い場所での先行パーティとの距離の置き方の工夫=接近戦は回避

もっと、もっと、あったんだけど、この辺にしておきましょう。加藤君、阪野君、君たちはしあわせだぞ!面倒見のいい指導者にあたって…

番外編3 明和高トレックへのKOBからの支援

♯1 2,3回「○○君、ガンバー!」と檄を飛ばしました。=あまり、いい光景ではありません。

ありがた迷惑かもネOBは黙って、○○ビール!」の態度が必要でした。

♯2 4日目の水晶小屋で、抹茶、カステラ、羊羹をサービスいたしました。

グリーンティの味はどうでしたか?OBもやるときはやるんだよ・・・

体力不足だったので、貢献できる事が少なかったのではと反省しています。

カラダをつくってから出直してまいります。

という収拾のつかない反省文になました。次回、参加する機会に恵まれたならば、今回の山行を踏まえて、明和高トレックの発展に寄与していきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。


注:二日目、槍沢の最上部、殺生ヒュッテへの分岐点へのトラバース。槍ヶ岳の穂先が見える!

中央下部の雪渓付近のパーティが明和高トレック。